デジタル化の功罪(2)

 救歯会のメンバーの間では、X線設備のデジタル化が静かな話題となっている。移転を予定している会員、開業・改装を予定している会員など、当然設備機材の新規購入または入れ替えを必要としているわけだ。
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 X線設備のデジタル化にはいろいろなメリットがある。
 第一に線量の低減が挙げられよう。最大1/10とまで言われているが、たとえそこまで低減されなくとも、数%でも低減される方が望ましいのは放射線防護の立場から視れば明らかなことだ。現在新規開業をはじめ新たにレントゲン装置を設置する場合には、防護壁を備えた専用の部屋が必要となるが、線量の極めて少ない口内法用のデジタル機器に関しては、天井など完全に遮蔽しなくても十分防護出来れば認可も可能な場合があると聞く。
 第二は廃棄物の低減である。基本的にレントゲンフィルム(フィルム本体・パッケージ・口内法の場合は鉛・断層撮影の場合は増感紙&カセッテ)、そして現像・定着液。これら廃液など全ては産業廃棄物として専門の業者に有料で回収を依頼しなくてはならない。
 第三は現像設備で、医院によっては専用の現像室が設備されていることもあろうが、私の感覚では自動現像機を使用されている方が多数派であろう。この管理・清掃も手間がかかる。現像室の壁や排水および換気扇に相当の腐食が生じるのもある意味仕方がないことでもある。
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蛇足だが、当院では口内法の撮影済みフィルムを小型デジカメで撮影し、テレビで拡大投影し診断・説明用に使用しているが、この半年どうもテレビの調子がおかしい。カードを読み取らないのだ。いろいろ考えたのだがわからずにいた。ただ、読み取りが悪い。接点がおかしいのか?と言うことで、どうもPCカードアダプタの接触不良らしいのだが、・・・!実は定着済みで持ち込んでいる環境が悪かったらしく、定着液の影響でスタンドのそばに常駐しておいたPCカードアダプタの接点が腐食してしまったようなのだ<泣。うかつなことだが、それほどこれら薬液の影響があるとは想像もしなかった。
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 その他にもいろいろあろうが、これらは全てデジタル化により改善されることが多い項目である。
 レントゲン撮影のデジタル化には、現在フィルムをイメージングプレートに置き換えそれを専用スキャナーに読み取りデジタルデータ化する方法とCCDセンサーにより直接デジタルデータへ変換する方法とがある。どちらも似たような価格だが、汎用性から言えば前者が有利で、画質では後者が有利と聞く。まあ、私のように現像済みフィルムをデジカメで撮影して取り込むというのも方法論としては有りなのだが、いわゆるデジタルレントゲンという話ではないようだ。
 ところがこのデジタル化、とても良さそうに思えるのだが実は大きな落とし穴がいくつかある。
 まず第一はデジタル化するための専用設備が必要であるという点。特に昨今はユニットにモニターを設置して、レセプト出力の可能なカルテソフトと共にこれらデジタルレントゲン・データを表示させるのがトレンドだ。つまりユニット分のパソコンとモニターを揃え、サーバーを別に設置する必要がある。と言うことは、撮影にも閲覧にも、システム自体を起動させなくてはならない。また、特にCCDセンサーの場合は取りあえず撮影だけして・・・と言うわけにはいかない。実は産業廃棄物でもある撮影済みフィルムはこの上ない利便性を兼ね備えている事に気づく。カバンやファイルからおもむろに取り出して照明にかざしながら?なんていう技はムリになる事を覚悟しなくてはならない。その代わり、ノートパソコンに予めデータを入れておき・・・という事が必要になる。ただし、前述のカルテソフトがノートパソコンで持ち出し可能なのかは私は知らない。と、なれば画像データのみを抽出する手間もかかると・・・。
この項目には機材の設置と費用という点も挙げておこう。
 第二は画質の問題である。これは医科領域でも相当問題になっているようだが、基本的に解像度の問題でセンサー側とモニター側とそれぞれにあるようだ。
  例えば医科領域で有名なDomeの縦型GrayモニターC5i、文字通りグレースケールのみの表示で2,560×2,048pixelsもの解像度をもつ。しかし、これとてフィルムの解像度に到達していないとの評価である。ちなみに価格はEpinions.comというサイトでなんと$12,958.00!(単純に換算して\140万以上・・・もはや30″CinemaDisplayの比ではない)

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