骨質と骨密度
医師にとって高齢者の骨粗鬆症は極めて問題で、その改善のためにかなり積極的に治療薬の使用を推奨している。確かに高齢者の骨折は、寝たきりの直接間接(「関節」ではない<苦笑)的な原因であるからだ。
昨日付のNMOnlineの記事(Vol.2)の書き方に依れば、
「BP製剤で治療するメリットは大きく、まれに発生する顎骨壊死などを必要以上に恐れることは避けたい」
「1つの副作用に必要以上に恐れすぎることはせず、適切な使用を」
と。
更にこの回では、抜歯のためにリセドロネート(BP製剤「アクトネル」)を中止したために腰椎圧迫骨折を来した症例を呈示している。
詳細は口腔外科の現役准教授ども(失礼!<苦笑。いやほとんど彼らは私の同輩であるので)に聞いてもらうとして、問題は口腔外科学会の表向きのデータ(BP製剤による顎骨壊死頻度0.01~0.02%)を鵜呑みにする医者の「甘さ」だ。(これは聞きかじりだが)かなり桁が違う顎骨壊死の頻度にはもう少し我々歯科サイドも社会に向けて最新のトピックを発信すべきだ。
(むやみに恐れすぎることはマズイが・・・)
もう一つの問題は、BP製剤休薬による骨折。これこそ医師サイドの責任放置と言わざるを得ない。健康食品のようにBP製剤を辺り構わず処方したあげく、その休止による症状悪化はいったい誰にあるというのだろう?。それこそ、BP製剤オンリーのカチカチ頭の無策としか言えない。しかもその後に非BP製剤投与による症状緩解とは、片腹痛い。いや、当該患者の逆鱗に触れてもおかしくはないだろう。更にBP製剤を中止し3ヶ月後に抜歯、圧迫骨折を起こしたのは『その後』と、極めて時間的な不明瞭さに呆れる。
これ見よがし的なこの新聞会社の体質(と、いわゆる医療ジャーナリストども)にももっと勉強しろよ、と言いたい!!!!!。
さて、かなり前置きというか溜まりに貯まったウサを晴らして、本題<核爆。
医師はしゃかりきになって骨密度を測定しその密度を上げようとしている。ところが骨密度も確かに大切だろうが、骨質も大切ではないかという見方も欲しい。つまりBP製剤で骨密度ばかり上げても、脆弱性骨折が一向に減らない。つまり骨は硬くなるだけで、チョークのように脆くなったままだからだ。
つまり「(骨の)網目構造」を壊す骨粗鬆症に対してBP製剤の効果は、ブロックまたは大谷石塀を単に積み上げたに等しいのだ。しかるべき負荷が掛かれば、あっけなく倒壊してしまう・・・。だからこそ、「網目」の再建が望まれるのだ。
骨粗鬆症の治療薬として最近話題になっているのが非BP製剤の「テリパラチド」。これは骨密度だけでなく骨質の改善にも効果があるという。さてこの新薬、果たして口腔外科処置との影響は如何ほどなのだろうか? 骨代謝機能をBP製剤のように抑制していなければ、影響は少ないはずなのだが・・・。