前を向いて
友人、いやもう親友と呼ぶべき男が不慮の死で逝き、もう4年。
聞けば彼の仕事場の機器はほとんど全て譲渡したそうな。彼の愛娘がこの診療室を引き継ぐかは判らないが、まだ時間がかかる。
愛した家族や、豪邸や立派な庭はきちんと前を向いて歩いているようだ。
「主人」が代わった広大な庭だが、それでも日々変化ししっかり生き続けている。また今年も違った表情を見せてくれる。近くで眠る彼も、少し安心しているのかも。
暇する際、この診療室を引き継ぐ人間が見つかり再開が予定されているとのこと。聞けば当地でも著名な人だそうだ。彼がそのままずっと引き継ぐか、愛娘が戻る基礎となるかはまだ判らないが、居なくなった主の替わりが見つかったことは、この仕事場も亡くなった彼の父の診療室から移植した表札も、きっと喜んでいるに違いない。
偶然、我が家の近くで急逝された診療所も、新しい歯科医師が見つかり再開した。ともかくもみんな前を向いて歩いている、ってことだ。私もおいてゆかれないよう頑張ろう。