いよいよと言うか、とうとうフルサイズS-SLR中級機の登場っす。Canon EOS 5D。
デジカメジンでは約$3,300(≒¥363,000)、Digitalcamera.jpでは€3,500(≒¥470,000)と記載されているため、レートでかなりイメージが異なるが、およEOS 20D(ボディ約¥180,000)の倍程度と思われる。ただCCDはやや小さくなるが、約2.5倍で新型のEOS-1D mkIIN 約$4,000(≒¥440,000)が買えるとなるとなかなか微妙な立場と言える。
Canonは「下克上」と言う言葉が好きなんじゃないかな。例えばデジタル一眼レフ黎明期のころ、NikonはD1というF100をベースとした、いわゆるプロ機からの直球勝負だったが、CanonはD30という比較的コンパクトな、ハイアマチュア機からの参入だった。やがてCanonはCMOSの自社量産体制を整え、フルサイズ・1.3倍・APS-c1.6倍とあらゆるスペックを取りそろえ、ついには35mmサイズボディでは頂上に君臨する1Ds mkIIのフルサイズセンサーを20D級のボディ(実際は新設計だろうが)に詰め込んでしまった。もはやNikonやPentaxはおろか、SONYとPanasonicとそれぞれ手を組んだKonicaMinoltaもお呼びではない。
ただ心配もある。個人的にはフルサイズ不要論者であるが、その理由は既に1Ds (mkII)で問題になっているフルサイズ所以の、周辺減光やレンズを選ぶ点、そして超高解像度のため手ぶれ(シャッターぶれ)・被写体ぶれがクローズアップされる点だ。恐らく周辺減光は単焦点レンズを主に使用しソフトウエアでの対策となろう。安いズームレンズではその機能は生かせないし、それを生かすためには高価なLレンズを揃える必要が出てくる。超解像度は諸刃の刃であり、モデルのアラさえ白日の下にさらすことも知らねばなるまい。手ぶれに関してはやはり大型ボディと手ぶれ補正機構が必須となるだろうから、5Dでは三脚の使用は必須だろうが1Dsよりダメ写真が多くなることは必然だ。
5Dの発表は、個人的には良い意味でいろいろ考えさせられたニュースだが、現実に目を向けると果たして正しい商品なのかは疑問だ。例えば以前から苦言を呈しているが、ファインダー一つ取っても中級機以下のそれは、マニュアルで焦点を合わせるには性能が不足している。フルサイズだから改善できたという詭弁は、私にとっては承諾できないものなのだ。35mm銀鉛一眼レフのそれのように、明るく大きなファインダーを搭載することが第一ではなかったろうか? メーカーの都合で、APS-cは「仕方ない」「仕様である」と切り捨てられてしまったと感じるのは私だけなのだろうか??