ハイブリッド(後編)

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予想外だった点

・駆動系

 基本的に1.5リッターエンジンのクルマですが、始めはモーターのみで発進します。その前に、直方体の無骨な黒い塊のリモコンキーは携帯性が悪いっす。けれど、システムが立ち上がりエンジンの音が無く動き始める様は、やはり驚きです。さらにEVモードというのがあって、モーターだけで走ることも出来ますよ。つまり文字通り電気自動車状態なのです。
 駆動系をモニターしていると、普段省エネの為に控えているブレーキングでエネルギーを回収しているのが判ります(回生ブレーキ)。このクルマに乗ったら、環境のためにも積極的にブレーキを踏まなくてはなりません(爆笑)。


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 しかしバッテリーの容量が少ないため、あっという間に電池が無くなりEVモードが使えなくなりやおらエンジンが起動します。小さいエンジンなので意外にうるさいし、下品。トルクも少ないので、急加速や高速道での走行には音量が高くなるのでかなり回転しているみたい。けれど独りで乗っている限りでは、モーターのトルクの効果か想像以上に速く走れますね。
 基本的にエンジンのトルクが小さく、バッテリーの容量が小さいと言うことは、残念ながら荷重がかかった場合(5人乗車や重量荷物満載)の状態を容易に想像できます。ただしより万能性を求めるのなら、来年排気量アップして登場すると言われている新型に多少期待ができるかもしれません。

 やかましい安っぽいエンジンをかなり遠慮無く回したので、燃費モニターはそれなりに悪い結果でしたが、それでもリッターあたり10km以下を表示することは滅多になく、特に高速で回しても平均燃費は20km/l程度でした。市街地ではさすがにモニターのバーグラフがせわしなく動きますが、表示を越えて99.9km/lなんて極端なものから50km/lだのは当然のように表示されます。
 帰ってきてスタンドで経験したことは、恐るべき燃費で想像を超えていました。さすがにカタログデータ通りとは言いませんが、宇都宮を(ランサーほどではありませんが)燃費を気にせずにそれなりに飛ばして往復した(多少市街地もあり)結果、払ったガソリンの金額は愛車のわずか1/3程度だったことを報告しましょう。レギュラーガソリンというのもサイフには優しい点ですが、ランサーは往きはともかくも(ごにょごにょ)帰りは燃費を考慮して高速を平均100km維持で帰ってきての結果ですから恐れ入ります。では、プリウスで高速を運転していてストレスが溜まったかというと、実はそれほど掻痒感を感じなかったのもクルマとしての出来が良い理由なんだと思います。ただ、VWゴルフ(最近のは知りませんが)などの「味」と比べるにはまだまだだなんでしょうけど・・・。


・内装
 
 レンタカーはベース車両のS型でしたが、内装の感じはそう悪くありませんでしたね。特に座面の素材は上位グレードのアルカンターラと見間違うほど上等に見えました。もはやモデル末期なので、新鮮さや奇抜さの驚きはありませんが、センターメーターも想像以上に見やすいし違和感はあまりありません。
 でもシンプルなデザインのシートですので、案の定腰の支えが乏しく疲れます。さすがに昔のトヨタ車程の酷さはないもののここは要改善項目。経験的に、この辺は日産車の方が優れていると思います。更にシートの調節機構が良くなかった。リクライニングのラッチが粗く、やや起きたポジションが好みの私には合わなかったデス。
 ステアリングも標準のウレタンは滑りやすかったのでお薦めできませんが、上位グレードは革巻きですからやはり良いものは高くなるのですな。
 好感をもって見ていたセンターメーターパネルの欠点は、唯一夜間フロントグラスに反射が出ると言う点で、これも要改良点です。メーカーでは夜テストしないのかしらん?


・その他

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 まずライトが暗いのが参った!。このランプでは、夜は辛い。これも上位グレードにはディスチャージランプが標準装備されますから絶対それを選択すべきです。安全装備のスタビリティーコントロールシステムやサイドエアバッグなどもベース車両のSでは選択も出来ないものもあります。そう言う点で10周年記念エディションはある意味、当を得た戦略と言えます。しかし上位グレードのGとあまり変わらない位の価格設定なのに、まだ選択できなオプションもあることも不満材料。それなら上位グレードを最初から選んだ方が良いと考えます。

 空力を重視しているこのタイプのクルマは、前方の角を見極めるのが難しいのも困りもの。しかしボディ自体がコンパクトなのがせめてもの救いでした。しかしこのコンパクトなボディに電池を詰め込んだため、荷室にしわ寄せが来て結構狭い(浅い)んです。そう言う意味でも、後席に人を乗せてさらに荷物を積んでという使い方には合致していません。繰り返しになりますが、あくまでも二人までのパーソナルユーズに限ると言えます。と言う視点で見直すと、このクルマちょっと魅力に欠けるんです。未来を感じさせながら実用に絞ったデザインが、「どーしても欲しいぞ〜おおっ」って思えない最大の欠点でもあるかもしれません。


 ハイブリッド(自動車)は、重く高い電池とモーターにその価値を依存しております。従ってハイブリッド故の性能を求めれば、最新のレクサスLS600hやGS450hなどの様に当然重く高額になりますし、必然的に荷室か居住空間を侵蝕を許すことなります。加速性能だけを考えるのであれば、今や燃費の高度なマネージメントが可能になった新型エンジンや過給器を装備する方が、車重にも価格にも有利だと思います。
 一方燃費を考慮すれば、ハイブリッドまで搭載して重い車重と格闘するよりも、軽いボディに効率の良いエンジンのクルマを選択するほうが理にかなっております。例えば、トヨタ・ヴィッツやホンダ・フィット、日産マーチなどの軽量な小型車がその対象となり、しかも車両価格も半分以下なのですから。つまり車両価格差の分、燃費で使おうとするには通常の使い方ではおつりが来るかも知れない計算になるのです。見方を変えると、燃料の価格や効率を考えると、ディーゼルエンジンやVWゴルフTSI(ツインチャージャー)などの過給器も十分魅力的な選択肢となるかもしれません。ただし前者は国産車ではまだ対象車種はありませんし(唯一メルセデスのディーゼル・ブルーテックエンジンを搭載したEクラスが販売されたがかなり高価)、後者もまだフォルクスワーゲンの小型車だけに限定されていて、一般的でないのが実状です。そもそも燃料の価格差、ハイオク、レギュラーと軽油の差はランニングコストに大きく影響する因子でもあるのです。


 さて結論ですが、レンタカーで経験した現行のプリウスはパーソナルユースとしては極めて有用な実用車と感じました。しかし比較的高額な車両価格を考慮すると、果たしてけっこう高いお金を払ってわずかな差の燃費に「環境に優しい」と満足するかどうかは難しいところでしょう。決して楽しいほどの魅力が無かったのも事実。燃費と車両価格のトータルでは、決して安く済む買い物とは言えません(私のランサーとは比較にならない小さな事ですが・・・<自爆)。ただし別の観点から、9月に発表されるフィットも来年生まれ変わるプリウスも、モデル末期で満足するか次期モデルにわずかな期待をするか、なんか全部「びみょー」なんですよね〜(たはは)。

このブログ記事について

このページは、kimuraが2007年7月30日 17:21に書いたブログ記事です。

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