逆転

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 突然で何であるが、私の出生地は千葉県佐原市である。
佐原は水郷と言う名前で有名なように、広大な水田地帯に利根川を利用した運河による商業で発展した街である。いまだ江戸時代からのにおいがする懐かしい街並みは、小さいながらとても印象的である。

 小学生の時まで、祖父母が佐原市に在住していたため、夏休みは当然、冬や春の休みにチャンスがあればしばしばここで過ごした。千葉市もそうだが、周囲に高い山が無く、「山」と言う景色には縁遠かった。だが、すぐ近くには利根川の土手がそびえ、大きな橋と広大な河川敷、そして遠く広がる水田は心にいまだに焼き付いている。子供だから出かけることの出来る範囲はたかが知れているが(家のせいぜい半径3〜4㎞というところか)、それでも千葉市で得られぬ経験をした。 
 現在のJR佐原駅の北東にある市民体育館・文化会館・図書館のある地域は昔佐原港のあった所で、正月には出初め式がありよく観にいった。その佐原港から潮来まで遊覧船がでていて、祖父やまだ10代だった叔母がよく連れて行ってくれた、そんな思い出にある港も気づけば埋め立てられてしまって、その面影はない。そんな時の流れを感じさせながらも、現在も小野川沿いの昔ながらの町並みが残っているのは好きだ。

 街並みが似ているため、倉敷や柳川といったより大きな街とよく対比させられるが、本当にこぢんまりとした小さい街である。だが、平成の市町村合併でその「佐原」の名前が市の名前として消えてしまう。母は嫁ぐまでこの街で暮らしてきたので、私より想いが大きい。この話に憤慨した一人でもある。「も」と言うのはこの私もだ。
 合併の経緯で、最大の佐原市が吸収ではなく新設合併で、かつ新市名を旧市町名から選ばないとした合意に基づいたためと思われるが、残念だ。替わって新市名となるのが「香取市」。SMAPの香取慎吾のあの「かとり」だ。恐らくあの地域で最も有名な名前が香取神宮だからでもあろうし、JR鹿島線の分岐駅が香取駅でもあるからだろう。だが最大都市である佐原がその名前を市名から捨てるのは、打破しなくてはならないせっぱ詰まった現状が見えてくる。

 佐原市佐原・佐原市香取が、香取市佐原・香取市香取に攻守逆転変してしまう・・・悲しい。だが、香取市が新しい名前共に飛躍することを祈りたい。

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このページは、kimuraが2005年5月30日 16:59に書いたブログ記事です。

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